ブックタイトル大阪電気通信大学後援会 後援会たより

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概要

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2015. Spring 3 大阪電気通信大学にご入学おめでとうございます。ご本人はもとより、ご家族の皆さまにも、心よりお祝いを申し上げます。実社会に出ていく前の大学での4年間は、総合的な人間力を高める大切な期間ですが、その「学修の場」として本学を選んでいただき、誠に有難うございます。 さてこの寄稿を、数か月前に放送されたNHKの「ルソンの壺」という番組での話題を引用して始めることにしたいと思います。番組のタイトルは“社員のやる気を引き出す方法”というもので、大阪の岸和田市にある住宅販売会社の実例が紹介されていました。その会社では、社長の発案で「親孝行週間」というものが設けられており、その期間が始まる前に、社長から社員一人ひとりに1万円の軍資金が配られます。受け取った社員は、そのお金を元手に自分の資金も継ぎ足して、親をレストランでの食事に招待したり、旅行券を渡したり、それぞれのアイデアで親孝行の仕方を考えて実行し、親孝行週間が終わったら、自分が何をして結果はどうだったかについて、レポートを提出するのだそうです。息子や娘からそのような親孝行を受けた親御さんは、100%の確率で間違いなく感謝の気持ちを表すでしょうから、それぞれの社員としては、人に何かをして感謝された、という成功体験を実感することになります。これは、営業関係の社員はもとより、それ以外の部署の社員にとっても、確かな自信をもつことにつながり、大いにやる気を掻き立てられることは間違いありません。一人に1万円でも千人の社員では1千万円かかるので、会社は大変な出費だと思いますが、その効果の方がはるかに大きいことも想像に難くありません。 この話について皆さんはどのように思われたでしょうか。“何かにうまく応用できないだろうか”と感じた人があれば、それは課題を探す意識や能力の高い人です。私は学長として、日頃から教育方法の改革や教育環境の改善の課題が頭から離れないので、このような話についついのめり込んでしまいます。これをヒントに、本学で何とか実現できないものかと夢想している「親孝行」のアイデアを紹介しましょう。 新入生の皆さんは入学後1、2ヵ月のうちに次第に大学の様子がわかってくると思います。その段階で、大学では「親孝行デー」を設定して、新入生一人ひとりが親御さんを本学に招待し、それぞれが自分で見学ルートを設定して学内を案内することにします。図書館や情報教育用のICT設備、実験センターや3D造形先端加工センター、先端マルチメディア合同研究所(JIAMS)のスタジオやその他の研究所の設備、自由工房の活動などを組み合わせて、さらに授業風景の参観なども加えてもらってもよいと思います。もちろんその途中で、学生食堂で好きなメニューを選んで食事をしてもらうことも自由で、無料サービスとします。 この企画は、学費を負担してもらっている親御さんに、自分の通っている大学の状況をありのままの姿で見てもらうことで、勉学の環境に安心してもらうことになるのではと思います。そこで、親御さんから“いい大学に入ってよかったね! ”という言葉を聞かせてやっていただければ、新入生がそれぞれに“しっかりと前を向いてやろう”という気持ちを新たにすることは間違いありません。また、「母校」という意識も芽生え、その親に対しても孝行をしていることになります。この企画の実現を一つの契機として、それ以外にもできるだけ多くのアクティブ・ラーニング(能動的学修)の機会をカリキュラムの中に取り入れて行き、学生の皆さんの主体性や企画力、コミュニケーション力の養成にもつなげていければと思っています。 もう一つ、今年からでもやってみたいと思っている試案を紹介します。新入生の皆さんには、情報関係の基礎の入門科目の中で、一人ひとりの目標として、1年の間に取得するICT関連の資格を自己申告してもらうことにします。例えば、国家資格のITパスポートや、マイクロソフトのワードやエクセルに関するMOS (MicrosoftOffi ce Specialist)検定などでもよいし、それ以外にも広い意味でICT関連であれば何でも構いません。その自分が立てた目標に向かって、関連の科目の中で勉強したり、課外の補習講座や直前の受験支援講座で準備をしたりして、1年以内に受験をしてもらいます。みごとに合格すれば、学長から何らかの褒賞を差し上げるという約束にしたいと思っています。ともかく、自分自身で立てた目標に向かって努力し、それが達成できたら自信がつきます。自信がつくと、前に向かって進もうという勇気と希望、すなわち向上心が自然に湧いてきます。 最後にひとこと、大学に入ったらその機会や場所を最大限に利用して、「主体的な学修の場」を自分自身でどのように形作っていくかで、4年間の価値が違ってきます。本学のすべての教職員は、皆さんの学業の支援や将来の夢をかなえる手助けをしますので、困ったときや迷ったときには遠慮せずに相談して下さい。皆さんが、それぞれに自立した個人として、悔いのない学生生活を送られることを願っています。大阪電気通信大学学長橘  邦 英母校愛から前に進む力を