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2016. Autumn 27新任先生からごあいさつプロフィール1991 年 大阪大学工学部産業機械工学科 卒業1993 年 大阪大学大学院工学研究科 博士前期課程 修了1993 年 大阪大学 助手2003 年 大阪大学 助教授2007 年 大阪大学 准教授2016 年 大阪電気通信大学 教授(現職)工学部機械工学科教授山やま本もと剛たけ宏ひろ先生「広い視野と興味を持って」  今年の4月に工学部機械工学科に着任しました。前任校は大阪大学でしたので、研究室の引っ越しは大阪府内の移動で比較的楽に済んだのですが、それでも結構大変なものでした。6月頃に段ボール箱の山もなくなり、ようやく落ち着きつつあります。近畿圏内の異動で何がいいかというと、引っ越しの苦労がまだましというのもありますが、引き続き関西弁で授業が出来るということでしょうか(関西人はどこに行っても関西弁という話もありますが)。いま、機嫌良く関西弁で授業をさせて頂いています。 さて、私の研究についてですが、専門は流体力学・流体工学で、その中でも複雑流体と呼ばれる流体を研究対象にしています。流体力学というと空気力学や水力学が主要な研究分野ですが、複雑流体は空気や水よりも複雑な内部構造をもつ流体で、流体内部に原子・分子レベルよりも大きな構造をもつ流体と定義できます。そして、その流れは、しばしば空気や水には見られない特異なものとなります。そう言うと、一見特殊な流体のように思われるかも知れませんが、複雑流体を使った製品は身の回りに沢山あります。例えば、プラスチック成形品や合成繊維の原料である高分子流体、ディスプレイに使われる液晶、シャンプーや歯磨きペーストなどの日用品、マヨネーズやケチャップのような食品も複雑流体の仲間です。また、化粧品やペイントも顔料系の粒子を母液に分散させた分散系と呼ばれる複雑流体です。 このような複雑流体を使った製品をつくるとき、あるいは製品を使用するときに流れ現象が現れます。そして、製造プロセスの効率や製品の機能性の発現は、流動時の流体挙動や流体内部構造の変化に関係するため、流動メカニズムを調べることが大切になります。そこで、私の研究室では、このような流体の流動メカニズムを実験やコンピューター・シミュレーションによって解析しています。 このような複雑流体を扱う学問分野のひとつにレオロジーがあります。レオロジーは「物質の流動と変形に関する学問分野」と定義されています。それでは、流れたり形が変わったりすれば、何でもありの研究分野のようですが、実際にその守備範囲は非常に広く、流体分野だけではなく、化学、物理学、地球科学、数学、生物学から心理学に至るまで多岐にわたります。私の研究でも、機械工学には関係なさそうな微生物分散流体やバイオフィルム(水場のヌメヌメなどが一例です)も複雑流体のひとつと捉えて、研究対象にしています。 このような分野で研究を進めていると、自然と、学問分野の境界を気にせずに色々な分野に首を突っ込む習性が付いてきます。他の分野でのアプローチ方法や考え方の中から問題解決のヒントが見つかることもしばしばです。また、研究の新しい展開のきっかけや新しいアイディアの種が見つかることもよくあります。 その経験をふまえて、学生の皆さんに大学生活の中で心がけて欲しいことを述べさせて頂くと、それは、広い視野を持ち、そして広く興味を持つことです。自分の学科の専門分野にとらわれず、色々なことを学び、色々なことに挑戦して下さい。大学時代には、そのための環境や時間があります。様々な専門分野の先生や他学部・他学科の友人が近くにいますし、自由になる時間は社会に出てからに比べてずっと多くあります。 そうして得られた知識は、将来社会に出たときに様々な場面で役立つでしょう。また、ものごとに対するこのような姿勢は、将来自身が活躍できる分野の選択肢や機会を拡げてくれることでしょう。大学での貴重な時間を楽しみ、かつ有意義に使って下さい。