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新任先生インタビュー総合情報学部情報学科講師中なか原はら匡まさ哉や先生大学生活で学んだことを自分の手札に― 先生は「メディア情報学」「知能情報学」「社会空間情報学」がご専門ですね。近年、様々なメディアが登場していますが、先生の研究分野について教えて下さい。中原 情報メディアと呼ばれる機器や媒体はカメラやレーザー計測器、WEB コンテンツなど多様です。カメラは画像や映像、レーザー計測器は三次元データ、WEB コンテンツはSNS のユーザーが投稿した情報やWeb ページに掲載されている情報などが挙げられます。このように人に情報を伝えられる機器や媒体から得られるデータを解析したうえで統計を取り、そこから知見を得るのが「メディア情報学」です。「知能情報学」は最近流行りの人工知能、いわゆるAI などを扱う学問分野です。AI だけでなく、統計を取ったり,数値解析をする分野でもあります。「社会空間情報学」は、メディア情報学や知能情報学をベースに土木建築や交通の分野に応用する学問領域です。最近ですと、これらの分野で培われた技術や知識はスポーツ分野でも展開されつつあり、非常に汎用性があります。―具体例を挙げて教えていただけますでしょうか?中原 土木建築の分野については例えば、自然災害の被害を調査する時に応用されます。近年、豪雨による大規模な土砂崩れが全国で発生していますが、その被害状況を調べる際にドローンなどで上空から撮影します。そして空撮、または搭載したレーザー計測器でスキャンして地形を三次元化し、土砂の堆積量などを算出します。これらの計測・解析技術は、クレーンが吊り荷を移動する際にも適用可能です。クレーンのアームの先端にセットしたカメラとレーザー計測器で移動させる空間を計測。その計測結果を解析して吊り荷の高さや移動させる場所までの距離などを算出して,操縦席のモニターでAR 表示・可視化します。このようにしてクレーンの操縦者の感覚や視覚だけでは測れない情報をメディア機器を使うことで計測・解析し、可視化することで安全性の向上しているのです。―交通の分野ではどのように使われるのですか?中原 新たに道路を建設したり、拡張工事を行う際には交通量調査を行います。一日の流れの中で大型車や中型車、小型車など車種別に台数をカウントするのです。皆さんも目にされたことがあるかと思いますが、従来は人が交差点の近くに座ってカウンターをつかってカチカチと数えていました。しかしこの方法には問題点があります。人手なので正確性に欠けますし、炎天下や厳寒時の作業は負担が大きいです。交通事故に巻き込まれるリスクもあります。そこでその方法に代わって近年技術開発の期待が高まっているのがAI( 人工知能) を利用した自動認識システムです。交差点にビデオカメラを設置し、撮影した映像をAI で解析するのです。人間ができることは何でもできるのがAI の大きな特長です。私の研究室では情報機器を使って得たデータをAI で解析し、皆さんの身の回りの生活を豊か、かつ便利にするソフトを作るための研究に取り組んでいます。― いつごろから「情報」の分野に興味を持たれたのですか?中原 小学3年の時にゲームに興味を持ったのがきっかけですね。「このゲームソフトはどのように作られているのだろう?」「バグってどうして生まれるの?」「バグを修正するにはどうすればいいの?」など、ゲームを知れば知るほど様々な疑問がわいてきました。やがてプログラミングに興味が広がっていきました。中学時代は独学でゲームなどのプログラミングを勉強。自分ひとりでは限界を感じ始めていた高校生のころ、数学の先生がエクセルのマクロを教えてくれました。その出会いをきっかけにプログラミングについてより理解と興味が深まり、「将来はソフトウェアを作りたい」と心が決まったのです。― この分野の研究において、先生が魅力的で面白いと思われるのはどのようなところでしょうか?中原 魅力はやはり、時代の最先端の研究をやっているところでしょうか。現実的な話になりますが、就職活動をする時に「大学でAIを学んだ」という事実は強力な手札になると思います。コロナ禍で新卒の採用を手控える企業が少なくない中、AIの知識があって最新のICT機器を使える人材が今、求められています。一方、この研究分野での最大の面白味は夢が無限に広がっていくことだと思います。身近にあるメディア機器を使って、「あんなことやこんなことができないかなぁ」と考え、それを実現していく過程はこの上なく面白いですね。2021. Autumn 21